BUT I NOTHING ONLY ONE


僕は心の中で彼に聞いてみた。
(・・・)
そう、僕にはそれが不思議でならなかった。

心の中の彼はタバコに火を点けながら言う。
「争うより笑ってた方がいいさ」
煙を鼻から昇らせながら心の中の彼は笑った。

「考えてごらん、争いの無い世界を。それはきっと素晴らしい世界さ」
「想像してごらん、皆が手を繋いでる姿を。それはきっと素敵なことだよ」
「皆、僕のことを『現実に目を向けない馬鹿』だとか『奇麗事ばかりの夢想家』とか言う」
「でも、争うくらいなら僕は馬鹿でいい」
「そう、僕は馬鹿な夢想家さ」
眼鏡の奥から輝く瞳は、とても、とても、穏やかだった。

やっと僕にも理解できるようになった。


言霊へ



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