腐敗


指に激痛が走った。
そして爪に穴があいた。
付け根にぽっかりと。

腐ったのだ、と。
俺は此処から腐っていくのだ、と。

腐った穴が周囲を侵食していく。
恐い。
でもこのまま腐って、そして壊れてもいい。
そんな思いも浮かんでくる。

全部腐ってしまえ。
腐って、落ちて、そして消え去れ。

まだ穴は塞がっていない。
痛くはない。
腐ってしまったものは痛みを伴わないのだ。
そう、思った。

侵食が終わったように思える。
これ以上の侵食は無いだろう。
爪は硬さを取り戻した。

だが依然として穴はあいている。
元通りになるのか、それとも…

恐い。
腐ってしまった俺が。
以前の俺を取り戻せるのか。



言霊へ


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