Nosferatu


夜が来る。
僕の舞台。

真っ赤な月と漆黒の夜空。
僕は舞う。
真夜中のダンス。

幕間。

舞台を降りる。
観客のいない、孤独な舞台。

歓喜の声。
聞こえてくる。
引き寄せられる僕。
束の間の逡巡。

行くべきか行かざるべきか。

でも僕は知っている。
行かざるを得ないことを。
心の底で求めてるから。

僕は見ている。
絡まりあう二つの影。

邪悪なる欲望。
崇高なる儀式。
遥かな高みを目指し、悦びを分かち合う。
二つの命。
悦楽の瞬間。

僕は見ている。
彼等は気付かない。
羨望の眼差しで見つめる僕。

僕は聞きたかっただけ。
ただ聞きたかっただけ。

「存在を確認する為なの?」

彼らは答えてくれない。
眼に浮かぶ恐怖の影。
逃げ惑う二つの命。

「どうして教えてくれないの…」

乱暴する気はないのに。
何もする気はないのに。
裏腹に反応する体。
答えを聞きたいだけなのに…

「誰か僕を止めてよ!」

静寂。

真紅の線。
それ以外は綺麗な、とても綺麗なオブジェ。
答えを得られぬままに僕は去る。
絶望を身に纏い、僕は去る。

悲しみに彩られた僕の心。
欠けた心。
満ち足りぬ思い。

誰かに存在を認めて欲しい。
存在理由。
孤独。
やり場のない思い。

永遠の命、永遠の時間。

それは永遠の死。



言霊へ


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